●美しい影絵で伝える、日本で最初の物語の心(かかし座『かぐや姫』リーフレットより)
日本最古と伝えられる物語は『竹取物語』って知っていましたか?
その『竹取物語』を原典とした『かぐや姫』は、日本人なら誰でも知っているお話ですよね。
あるHPでは、好きな日本の昔話ベスト10で、第2位にランキングされていました。
(ちなみに第1位は『桃太郎』でした)
月から来たお姫様というところに、あこがれた女の子も多かったのではないでしょうか。
でも、竹から生まれた女の子が、最後に月に帰っていくところは知っていても、
実は、それ以外の内容を多くの人が知らないのも事実なんです。

そこで、まずは『かぐや姫』のあらすじを、おさらいしましょう!
むかしむかし、竹取の翁という爺様がいました。
ある日の事、竹を取りに山に入ると、金色に光る不思議な竹を見つけます。
早速それを切ってみると、竹の中には珠のように美しい小さな女の子がいたのです。
翁はその女の子を連れて帰り育てることにしました。
やがてその子は、美しい大人の女性に成長し『なよ竹のかぐや姫』と名付けられたのです。
あまりにも美しいかぐや姫はあっという間に噂になり、求婚者が続出します。
特に熱心に求婚し諦めなかった5人の皇子に、かぐや姫は幻の宝物を持ってくるように難題を要求しました。
皇子たちの中には、偽物を持ってくる者、逃げ出す者、怪我をする者もいて、誰一人と本物の宝物を持ってこられる者はいなかったのです。
やがて、かぐや姫の噂は都の帝にも届き、是非ともかぐや姫に会いたいと願いますが、  かぐや姫は会うのを拒みます。
どうしても諦めきれない帝は不意打ちで、かぐや姫の家にやって来ます。
しかし、かぐや姫は自らの正体を帝に伝え、一瞬にして光に変わり姿を消したのでした。
それから3年の月日が流れたある夜のこと、かぐや姫は月を見て泣いています。
事情を聞いた翁と帝は、かぐや姫を月に帰さぬ為、月の使者達と戦います。
しかし・・・
この後は、みなさんご存知のように悲しいお別れが待っているのでした。

狂言様式と癖のある5人の皇子たち!
かかし座の『かぐや姫』は狂言様式も取り入れた影絵劇となっています。             
大きなスクリーンには幻想的な影絵が映し出され、その前では俳優達が演じ、歌い、踊り、他に類を見ない、美しく、楽しい舞台を作り上げています。
特に5人の皇子の場面では、一癖も二癖もある皇子たちを、狂言の様式と、
かかし座が70年培ってきた影絵の手法をふんだんに使って、『ダイナミック』&『え??』っというお芝居(演出)で大いに笑って頂きます!
そして、いよいよクライマックスの、翁とかぐや姫との別れの場面では、繊細な影絵人形の表現と、優しく、切ない音楽で、涙なしには見られませぬ。

影絵の影の色こそが創造力(想像力)を育てます
もう一点だけお伝えしたいのは、このお芝居に出てくる全てのかぐや姫は、顔の表情も着物の色も付いていない黒人形を使用しています。
色や表情が見えないからこそ、子供達は大いに想像力を掻き立てられ、一人一人それぞれの、かぐや姫を心の中に作り上げ、お芝居の世界に入っていきます。
影絵はそのように、子供達の想像力を引き出す強い力を持っています。

そんな心潤う影絵の世界を是非、子供達と一緒にご覧下さい。

[文章:西垣 勝]