【わたしの道しるべ】
企画営業部(関西支部) 工藤あみ

 わたしは広島の西条という田んぼがいっぱいの町で生活をしていた頃、かかし座に出会い、その作品と役者の皆さんにほれて入団しました。田んぼがいっぱいの町から移り住んだ横浜での生活は、ドキドキしっぱなしでした。そして、ドキドキが落ち着いた頃、今度は生まれ故郷の大阪に戻りました。そして、今は、縁あって京都に住んでいます。広島〜横浜〜大阪〜京都…ずいぶん移動しました。

 今年は本物? ここのところこっちは阪神の話題で盛り上がっています。こないだ阪神百貨店のタイガースショップをのぞいたらホントに人だかりでびっくり。こどもからじいちゃんまで、嬉々として虎グッズを買ってました。このまま優勝せえへんかな? なんか楽しいことになりそうやねんもん。

 さて、野球の話はおいといて、私は、今、こちら関西の地で、かかし座作品をより多くの人に見てもらうべく、あちこち作品のご案内に回っています。その時のわたしの足は、文字通り自分の足。電車、バス、自転車も駆使しながら、重いかばんを背負って、てくてくてくてく歩いています。でも「地図が読めない女」を地でいくわたしは、たまに、…ときどき、…よく、道に迷っちゃうんです。

 2年前、関西に移ってきた時に、はりきって1冊の地図を買いました。いつも背負うから、あまり重くなくて、大きくなくて、きれいで見やすくて、とわがままなわたしの注文にうちの旦那が勧めてくれたのが、その地図。ちっちゃいけどカラフルで、しかもリング式だから開いたページが閉じない優れもの。たちまち、わたしのよき相棒となりました。

 京都市内で東西南北がわからない。枚方の住宅地の真ん中で、バス通りに出られない。こんな時に役立つのがこの地図! ええと、わたし…今どこだろう? そうなんです。どんなに地図がよくても見る人がダメだと意味がない。「ここどこですか?」なんていう外国人でもしないような質問を道行く人にすることになりました。恥ずかしいっ。

 こんなこともありました。ある日、仕事が終わって家に着いたら地図がない。最後に訪問した学校に忘れてきたらしいのです。学校の入口とか、レンタサイクルの場所とか、今までいろいろ書き込みしてきた大事な地図。次の日おそるおそる取りにいったら、下駄箱の中に入ったまんまで、事なきを得ました。

 が、その後、雨でぬらしたり、表紙が取れたりとあっという間にぼろぼろになっていき、とうとうこないだ、仕事の途中で新しい地図を買っちゃいました。おなじみの型だけど、新しい道も書いてある最新版。これからまたよろしく、の予定でしたが、その日に使ったきりで本棚へしまってあるんです。なぜなら…

 実は…その日地図を買ったのは、ドジなわたしが「家に地図を忘れてきたから」で、使ってないのは貧乏性のわたしが「もったいなくて使えない」からなのでした。こうして、今だ、ぼろぼろ地図はわたしと一緒にてくてく歩いています。