劇団かかし座が総力を挙げておくるシルエットニュープレイ
ジャングルと人の世界のはざまに生きた少年の物語
勇気と知恵と、・・・・そして愛

5面のマルチスクリーンを使用。
補助的なスクリーンや自由に動くパネルスクリーンを縦横に駆使し舞台いっぱいに表現します。
この影絵によって映し出されるジャングルの中を俳優は舞台狭しと踊り、歌い、生き生きと演じます。

迫力のある影絵とエキゾチックな音楽、エネルギッシュな演技でこれまでに類を見ない野心的な作品になりました。
一段とパワーアップしたかかし座の影絵劇に、どうぞご期待ください。




第一部 (40分)


舞台はインドのジャングルです。
トラのシーアカーンに襲われて両親と離ればなれになってしまった人間の赤ん坊が、オオカミの洞窟に迷い込んできます。
オオカミのお父さんとお母さんは赤ん坊を狙うシーアカーンからその赤ん坊を守り、「モウグリ」と名付けてオオカミの子ども達と一緒に育てることにしました。

集いの岩場で、オオカミ一族の頭アケイラが言います。
「一族の掟では、賛成するものが者が二人いれば仲間入りを許される。」
もう少しでモウグリがシーアカーンに引き渡されそうになったとき、賛成するものがあらわれました。
クマのバールーと黒ヒョウのバギーラです。シーアカーンは悔しがりながらもその場を立ち去るのでした。


それから十数年後、モウグリは立派な若者になりました。
トラのシーアカーンは相変わらずモウグリを狙っていましたが、バールーやバギーラ、アケイラ率いる「自由の一族」のものたちが守っていたために、うかつに手を出せずにいたのです。



しかし、アケイラは老いて一族を率いる力を失いつつありました。
バギーラは一計を案じモウグリに人間の村から「赤い火」を取ってこさせました。
「赤い花」とは人間の使う「火」のことです。「赤い花」でシーアカーンに一泡吹かせてやろうというのです。
たいまつを振りかざしシーアカーンを追い散らしたモウグリは、ジャングルを去って人間の村へ行くことに決めました。
「僕はきっと戻ってくる。今度僕がここにくるのは、集いの岩場にシーアカーンの毛皮を置きにくるときだ。」



第二部 (50分)

人間の村でメスアという心優しい女性に助けられたモウグリは、人間世界の生活を学びました。衣服、お金、畑仕事。
モウグリは村一番の力持ちということになり、水牛の番という仕事をもらいました。
ところがある日、傷の癒えたシーアカーンがジャングルに戻ってきました。そしてモウグリの命を狙っています。



それを知ったモウグリは、アケイラと兄オオカミの力を借りてシーアカーンを襲います。
水牛の群れを追い立ててワインガンガ川の水の無い支流で寝ているシーアカーンを挟みうちにしたのでした。
モウグリが死んだトラの毛皮を剥いでいると、狡猾な老狩人ブルドゥーが横取りしようとやってきますが、アケイラが撃退しブルドゥーは村へ逃げ帰るのでした。




村へ帰ったモウグリを 待っていたのは村人達が投げる
石つぶてでした。
ブルドゥーがモウグリを悪魔だと言いふらしたのです。
村にとどまれなくなったモウグリは、メスアと別れ、シーアカーンの毛皮を背に再び集いの岩場へと向かったのです。

オオカミたちはモウグリを快く迎えてくれました。
ところがブルドゥー達の会話からメスアとその夫が村人達に殺されそうなことがわかります。
モウグリはもう一度人間の村へ行くと、ジャングルの仲間たちの助けを借りてメスア達を逃がします。



そしてゾウのハティを呼び出し、村にジャングルを呼び込んでくれるように頼みます。
モウグリの思いをくみ取ったハティはジャングル中の動物たちとともに村を囲み、畑を食い荒らし、家々を押しつぶしました。

そしてそのあとに雨期がやってきたのです。ジャングルが村を飲み込み、村はジャングルになってしまいました。



それ以来モウグリはジャングルの頭になりました。
しかし「モウグリよ、お前の道を行け。同じ血を引く仲間に入るのが一番だ。」というバールーの言葉にしたがって、いつかモウグリは人間の村で暮らすようになっていました。

そしていま、モウグリに寄り添う少女がいるのでした。




スタッフ
原作 Rudyard kipling
脚本・演出 ふじた あさや
音楽 藤原 豊
影絵美術 かかし座美術部・後藤 圭
舞台美術 内山 勉
衣装 樋口 藍(アトリエ藍)
ステージング 加十 詩絵
照明 寺田 義雄(東京舞台照明)
音響 宮沢 正光(ふおるく)
舞台監督 杉村 向陽
舞台監督助手 西垣 勝
制作 後藤 圭
所要時間
仕込 4時間
上演 1時間45分(休憩15分含む)
撤収 1時間30分
会場条件
間口 12M
奥行き 12M
プロ高 8M
スノコ高 15M
袖上手 5*3M
袖下手 5*3M
楽屋
暗幕