唐山の皆様へ
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2005中国唐山皮影芸術展演
に関する感想他〜
後藤 圭
2005年9月24日
開催全体に付いて感想
まず、この大きな祭典を企画実行された主催者の皆様に敬意を表します。大変な準備とご苦労があった事と推察いたします。
日本から参加させていただいた私にとって、中国各地の皮影戯を一度に鑑賞する事が出来たことは驚きでした。また、それによってそれぞれの地域や劇団に様々な特徴や技法、方向性が存在する事を間近に見る事が出来ました。これは皮影芸術を探求するもの誰にとっても大きな経験であり、喜びです。今後の練達や発展に大きく寄与するものです。
ぜひ、今後もこの開催があることを期待したいと願っています。
開催全体についてのアドバイス
今後考えるべき点として私から申し上げられるとすれば、もっと作品の個性を生かすべきではないかと感じました。作品一つ一つにはその作品の生まれる文化的な背景や環境があり、それぞれの国や地域の事情があります。唐山市のお客様のように伝統的に皮影芸術を愛している中高年齢層の人々にはもちろん伝統的な作品が必要です。私たちや一部の作品のように子どもたち向けに作られた作品には子どもたちが客席にいる事が必要です。小さな会場向けの作品には小さな会場が必要であり、大きな会場を前提に作られた作品には大きな会場が必要です。十代の若者向けの作品もあり得ますし、女性向けの作品と言うものもあり得ます。難しい事ですが今後の参考にしていただければと思います。
日本と中国の違いとアドバイス
一番違う事は、スクリーンをどのように認識するか、と言う問題です。中国の皮影戯はスクリーンを一つの舞台として活用しています。日本の私たちはスクリーンを一つの映像として認識しています。この違いはそれぞれの文化的な背景が原因です。中国では伝統の延長に現在の皮影芸術があります。日本の影絵芸術は過去50余年のテレビや映画の発達とともに発展してまいりました。中国の伝統の上に立脚した芸能としてのすばらしさはその「息」の良さにあると私は考えています。日本の良さは映像処理の近代化にあると思います。それぞれの特徴をふまえた上で、今後の方向性をお互いに探って行きましょう。
劇団かかし座のこれから
私の主宰する劇団かかし座は日本における影絵芸術の先駆者として50余年の歴史がありますが、まだまだ充分な活動をしているとは言えません。今後は二つの方向性を探って行きたいと思っています。一つは観客層の問題です。現在は幼児、青少年の観客が大半です。これを一般の大人も観客にしていきたいと考えています。二つ目ですが、現在私たちは国内の活動を重視して海を渡る事はして来ていません。今後は世界中の皆様に喜んでいただける作品を作っていきたいと考えています。そして是非次の大会に新しい作品を持って参加したいと祈っております。
「みなみのうみのおとぎばなし」
2005中国唐山国際皮影芸術展演に日本代表として参加公演
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