子どもにアートを届けること 子どもにはたくさんのものが必要です。着るもの、食べるもの、遊ぶこと、親の愛情、生きていくためのさまざまな知識…。数え上げればきりがありません。現代の日本の社会はあらゆる意味で豊かです。それは私たちの先祖が営々として築いてきた基礎の中から生まれてきたに違いありません。ですから私たちは、先祖たちが築いてきてくれた社会を、より良いものへと発展・進化させていく責任を持っています。今、私たちの豊かな社会にプラスしていかなければならないものは、柔軟な心の育成、心豊かな社会の構築です。 こうしたい、こうありたい、もしかしたらこんなことがあるかもしれない。人は皆さまざまな希望や願望、夢を持っています。その中の幾つかが、誰かの人生の中で結実し、具体化します。そうやって社会は少しずつ発展していきます。ですから人々(特に子どもたち)が大きく壮大な希望や夢を持っている事が、より良い次の社会作りにとても大切なのです。その夢を育てるのがアートであり実演芸術です。実演芸術の主役はパフォーマー(俳優、音楽家等)です。それに触れた子どもたちは人間の可能性やおもしろさを実感し、自分の将来に夢を描く事ができるようになります。子どもには日常の他に、将来を夢見、大きな希望を持つ空想、想像の世界がとても必要なのです。 想像力は、書籍や映画でも育てることができるでしょう。しかしそこに生身のパフォーマーが存在し、目の前で演じられる実演はそうした従来のメディアとは少し違った力を持っています。人は、人と触れ合う事でこそ、とても大きな力を受け取る事ができるのです。そして目の前で演じられる実演は、日常と非日常の知識の世界をつなぐものです。子どもたちには日々暮らしている日常と、無限の情報をつなぐ架け橋としての実演芸術が必要なのです。 今述べてきた様に、アートや実演芸術には人間に欠かす事のできない大きな力を養う力があります。こうした力に子どもの頃から触れていく事が、「夢」や「希望」という、一人一人の人間の生きる力を育てていくのです。
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