児童文学の傑作として100年以上愛され続ける「オズの魔法使い」。映画や舞台など数々の関連作品が生み出されつづけるファンタジーの名作に、幻想的で色彩あふれる影絵の魔法がかかりました。

☆目指すはエメラルド・シティ!
 アメリカ・カンザスの田舎町からお話は始まります。
 ヘンリーおじさんとエムおばさんに育てられたドロシー。ある日、町を襲った巨大な竜巻に家ごと飛ばされてしまいます。たどりついたのは、魔法使いが治める不思議な「オズの国」でした。ドロシーを故郷に帰す力があるのは、「大魔法使いオズ」だけ。脳みそがほしいカカシ、心がほしいブリキの木こり、勇気がほしい臆病ライオンと一緒に、愉快で奇妙な冒険の始まりです!
 
☆現代の生き方につながるテーマ
 ドロシーと仲間たちは、力を合わせ困難に立ち向かいながら、お互いを認め合い、自分の価値を見つけて行きます。
 生い立ちや容貌、それぞれが持つ長所と短所、そして悩み。
「多様性」「自己肯定感」「自己効力感」といった、現代を生きるために重要とされるキーワードが、この作品の中には随所に散りばめられています。
 また、「影絵ミュージカル」とも呼ばれる本作品は、心弾む魅力的な歌が盛りだくさん。幼児教育を専門とする演出家・花輪充の描く愛の溢れる世界は、子どもたちに勇気と希望を、大人の心に懐かしく暖かい記憶を呼び起こします。

☆スクリーンと影絵人形のマジカル効果
 ステージ上を縦横無尽にかけめぐる大小5面のスクリーン。ある時は竜巻となってドロシーに襲いかかり、ある時はオズの国の不思議な扉となり、またある時は舞台いっぱいの雄大な景色に。影絵スクリーンが摩訶不思議な舞台装置へと変身します。
 出演者数はかかし座作品最大の10人編成。それに加え、オズの国の住人や動物たちなど、にぎやかでユーモラスな人形たちも多数出演!舞台はまるで人形と人間たちの不思議なカーニバルです。
 美しい光と影に満ちた「オズの国」の魔法を、ぜひその目でご覧下さい!

「文責:飯田美紀」