劇団かかし座は、影を操る集団です。
影は輪郭線です。人間でも動物でも植物でも輪郭線だけで描かれますから、中は省略されています。影を見たとき、人は必ず何の影?中は何だろう?どうなっているのだろう?と無意識に想像力を働かせることになります。そして自分のイメージを膨らませていくことができます。
また、影は何にでも姿を変えることができます。なりたい形に、なりたい姿に、なりたい物に変化することができます。ちょっと試してみると、幼児たちはそんな影の特徴にすぐに気付いてしまいます。
かかし座のHand Shadow Show(手影絵パフォーマンス)は、パフォーマーの素手と身体のみで繰り広げる、ユーモア溢れるオムニバス形式の作品です。

文部科学省初等中等教育局 幼児教育課教科調査官 小久保 篤子様に、こんなレポートがありました。「遊びは幼少期にふさわしい学び」。幼児期は、遊びを中心として、頭も心も体も動かして、主体的に、様々な対象と直接かかわりながら、総合的に学んでいく。遊びを通して思考を巡らし、想像力を発揮し、自分の体を使って、また、友達と共有したり、協力したりして、様々なことを学ぶ。

かかし座は、幼児たちに、直接かつ具体的体験の積み重ねの場と、遊びかつ学びの素材としての影絵を提供できるのではないかと考えます。
 Hand Shadow Showでは主役はもちろん手と指。しかしながら、子どもたちは見ていくにつれ、それを支えているのはパフォーマーの身体であることに気づいてくれます。パフォーマーは、一人の手だけではなく、二人の手を使ったり、体を使ったり、そして、みんなで一つの表情、景色を作っていきます。子どもたちはこれが、共同作業によってなしとげていることにも気づいてくれます。この世の中には、同じ手、同じ指などはありません。人に個性があるように、ショーにはパフォーマーそれぞれの個性が大きく反映されていきます。
そして、かかし座の手影絵パフォーマンスを観た子どもたちは、すぐさまそれを自分たちの遊びの中に取り込んでいきます。そんな子どもたちの姿にはただただ驚かされるばかりです。
子どもたちの夢と想像力は無限大です。
私たちは、劇団かかし座が、やがて訪れる子どもたちの小学校生活への架け橋プログラムになっていければと考えております。

【文責:玉田幹弘】